第1章:なぜ“シューズ選び”が走りのカギを握るのか?

「最近、なんだか足が重い」「走るたびに足裏や膝に違和感がある」「疲れが取れない」――
こんな悩みを抱えている市民ランナーは少なくありません。
実はその原因、シューズの選び方にあるかもしれません。
ランニングはシンプルなスポーツで、必要なのは「時間」と「シューズ」だけとも言われます。
しかし、シンプルだからこそ、シューズが体に与える影響は極めて大きいのです。
足は「衝撃を受け止めるクッション」
人間の足は、26個の骨、33の関節、100以上の靭帯と腱で構成される非常に複雑な構造を持っています。
走るときには、体重の2〜3倍の衝撃が1歩ごとに足に加わると言われています。
たとえば、体重60kgの人がフルマラソンを完走した場合、足には合計30トン以上もの衝撃がかかるという計算にもなります。
この衝撃をどうやって吸収するか、どこに負担が集中するか――
それを左右するのが、履いているシューズの「クッション性」や「フィット感」なのです。
市民ランナーにこそ合った一足を
職業ランナーであれば、自分専用にチューンされたシューズを履き、理学療法士やトレーナーのサポートを受けながらケアをします。
一方、私たち市民ランナーはというと…
- 平日はデスクワークや家事・育児で忙しい
- 練習は仕事終わりや早朝、週末が中心
- 睡眠や食事が不規則になることもある
- フォームや筋力に偏りがあるまま走っている
このように、体にとって“厳しい環境”で走っているのが市民ランナーの現実です。
だからこそ、市民ランナーにとってシューズ選びは単なるファッションではなく、**体を守る“装備”**として真剣に考える必要があるのです。
「合っていないシューズ」が招くトラブル
合わないシューズを履き続けると、次のようなトラブルを引き起こしやすくなります。
- 足裏の痛み(足底筋膜炎)
- 膝の痛み(ランナー膝)
- アキレス腱炎・シンスプリント
- 股関節・骨盤のズレ
- 姿勢の乱れ、慢性疲労
「走っているだけでなぜ痛くなるのか?」と不安になる人も多いですが、実は“シューズの構造”や“フィット感”の問題が根本的な原因であることが少なくありません。
シューズが「走りのクセ」を修正することも
足や膝へのダメージを防ぐだけでなく、シューズはフォームや姿勢のクセをサポート・補正してくれることもあります。
たとえば、
- オーバープロネーション(着地時に足が内側に倒れる)傾向のある人には、安定性重視のシューズ
- 筋力が弱く、脚力が足りない人には、反発性やクッション性のある軽量シューズ
- 脚が疲れやすい、長距離で足が残らない人には、適度なヒールドロップ(かかとの高さ差)があるもの
など、シューズを変えることで「走りの感覚が全然違う」「疲れにくくなった」という声は珍しくありません。
「なんとなく選ぶ」から卒業しよう
「このメーカーが好きだから」
「デザインがかっこいいから」
「お店のおすすめだったから」
もちろん、気分が上がるデザインも大事ですが、最優先すべきは「あなたの足と目的に合っているかどうか」です。
この記事では今後の章で、
- 自分の足タイプの見極め方
- シューズの構造と最新素材
- 試し履きのポイント
- 話題のモデルの紹介
- 買い替えのタイミング
など、「失敗しないランニングシューズの選び方10のポイント」を具体的にお伝えしていきます。
走るたびにケガをするか、走るたびに体が整うか――
その差を生むのが、「シューズ選び」です。
あなたの走りを変える一足、今こそ見つけてみませんか?
次章では、自分の足のタイプや形状を知ることの大切さについて解説していきます。
それが、シューズ選びの第一歩です。
第2章:まずは自分の“足タイプ”を知ろう
どんなに高性能なシューズでも、「自分の足に合っていない」と、それは逆にケガや疲労の原因になってしまいます。
シューズ選びで最も大切なのは、「どれが良いか」ではなく「どれが自分に合っているか」を知ること。
そのためにはまず、自分の足のタイプを正しく理解することが第一歩です。
足の特徴を知ることで、フィット感、安定性、クッション性など、シューズに求める要素がはっきりと見えてきます。
自分の「足の形」を知ろう(指の並び方)
まずは足指の形をチェックしましょう。
日本人に多いタイプは次の3つです。
✅ エジプト型
親指が一番長く、他の指が順番に短くなっていくタイプ。
→ もっとも一般的。幅広シューズが合いやすいが、つま先が細いシューズはNG。
✅ ギリシャ型
人差し指が一番長いタイプ。
→ つま先に負担がかかりやすく、シューズ選びを間違うと、足の甲や爪トラブルの原因に。
✅ スクエア型
全ての指の長さがほぼ同じ。
→ トウボックス(つま先部)が広めのシューズがおすすめ。
自分の足型とシューズのつま先デザインが合っていないと、「指が当たって痛い」「爪が変色する」「マメができる」といったトラブルが起こりやすくなります。
アーチの高さも重要なポイント
アーチとは、足裏の“土踏まず”部分のこと。
このアーチの高さや柔軟性も、シューズ選びに大きく関わってきます。
✅ ハイアーチ(高アーチ)
土踏まずが高く、地面と接地する面積が少ない。
→ クッション性の高いシューズで衝撃を和らげる必要あり。膝や足首への負担が出やすい。
✅ ローアーチ(扁平足)
土踏まずが低く、足全体がベタっと地面につく。
→ 安定性・サポート性のあるシューズが合う。長時間走ると疲労が溜まりやすい。
✅ ノーマルアーチ
土踏まずが適度にあり、衝撃吸収力と安定性のバランスが良い。
→ 多くの市販シューズと相性が良いが、注意を怠るとトラブルの原因にも。
簡単なチェック方法は、濡れた足で紙に足型をつけてみる“フットプリント法”。
土踏まずの部分が完全に濡れていれば扁平足、細く切れていれば高アーチ、ほどよい形なら標準と判断できます。
プロネーション傾向を把握しよう
ランニング時の着地動作において、足の倒れこみ方(プロネーション)も、シューズ選びにおいて重要な基準になります。
✅ オーバープロネーション
足が内側に大きく倒れこむタイプ(日本人に多い)。
→ サポート性・安定性のあるシューズが必要。内側の支えが重要。
✅ ニュートラル(正常)
足がまっすぐに着地するバランス型。
→ 一般的なクッション系シューズで問題なし。
✅ アンダープロネーション(スピネーション)
足が外側に倒れる。着地時に外側に力がかかるタイプ。
→ 柔らかくてクッション性のあるシューズが必要。衝撃吸収がカギ。
自分のプロネーションを知るには、専門店の足圧測定や動画分析がおすすめですが、すり減ったシューズの「ソールの削れ方」でもある程度判断できます。
足のサイズは“長さ”だけじゃない
「自分のサイズは26.5cm」と思っていても、それは足長(縦の長さ)だけを見ている可能性があります。
実は、シューズ選びでは足幅(ワイズ)や甲の高さも非常に大切です。
足の幅は「E・2E・3E・4E」といった表記があり、日本人は2E〜3Eが多い傾向にあります。
しかし、細身の欧米ブランドのシューズなどでは「きつい」と感じることもあります。
長さだけで選ぶのではなく、実際の足幅・甲高に合わせたフィッティングを意識しましょう。

自分の足を知ること=ケガを防ぐ第一歩
足は一人ひとり全く違います。
だからこそ、「あの人がいいと言っていたシューズ」が自分にも合うとは限らないのです。
シューズ選びは「足を守るための準備」です。
自分の足のタイプを知ることで、どんなシューズが必要かが明確になり、走るたびに快適さとパフォーマンスがアップするようになります。
次章では、そんな“シューズ自体の構造と役割”を、初心者でもわかりやすく解説します。
「どこを見て選ぶべきか?」が、さらに具体的になりますよ。
第3章:ランニングシューズの構造と役割を理解する
シューズ選びを成功させるためには、「どんな足に合うか」だけでなく「どんな構造を持ったシューズか」を理解しておく必要があります。
構造を知ることで、数あるモデルの中から「何を基準に選べばよいか」が見えてきます。
この章では、ランニングシューズを構成する主要なパーツとそれぞれの役割、さらに近年話題となっているミッドソール素材の進化と注目モデルについても解説します。
ランニングシューズの基本構造はこの3層
ランニングシューズは大きく分けて、以下の3つの層でできています。
① アッパー(足の甲を覆う部分)
足を包み込む生地部分で、通気性・軽量性・ホールド感を左右します。
- 通気性の良いメッシュ素材なら夏でもムレにくく快適
- フィット感が強すぎると足が圧迫され、弱すぎると足がブレる
- 最近はニット素材や無縫製設計(シームレス)など、肌あたりの優しいアッパーも増加
【ポイント】
甲高・幅広の人は、締め付けすぎない「伸縮性のあるアッパー」を選ぶのが◎
② ミッドソール(衝撃吸収と反発の中核)
シューズの中間層に位置し、着地時の衝撃を吸収し、次の一歩への反発力を生み出す部分です。
- クッション性を高める素材(例:EVA、PU、ナイロンベースなど)
- 反発性を持たせる素材(例:TPU系フォームやプレート搭載)
【注目ポイント】
✅ ミッドソール素材の違いで走りの感覚が大きく変わる
以下、参考URLをもとに素材の特徴をまとめます:
▶︎ EVA:軽量・柔らかめで足当たりが優しい。コストも安く扱いやすいが、へたりやすい。
▶︎ TPU:耐久性が高く、反発力に優れる。近年の高反発系モデルに多く採用。
▶︎ ナイロン樹脂系:クッション性と反発性をバランスよく実現。厚底モデルとの相性◎。
近年では、ASICSのNOVABLASTシリーズに採用されている「FF BLAST+」や「FF TURBO」など、軽さと反発性を両立する素材も増えてきました。
③ アウトソール(地面との接地面)
摩擦に強く、グリップ力を担う部分です。
- グリップ力が高いほど悪天候でも滑りにくく安定した走りに
- 軽量モデルではあえてラバーを減らして軽さを重視する設計もあり
【ポイント】
路面の状態(アスファルト、トレイル、芝)に応じて、適切なパターンと厚さが必要です。
その他の構造も見逃せない
- ヒールカウンター(踵の固定パーツ)
→ かかとのブレを防ぎ、足首の負担を減らす。 - インソール(中敷き)
→ 取り外し可能なものは、自分好みにカスタム可能。 - ヒールドロップ(かかととつま先の高低差)
→ 一般に8〜12mm程度。慣れないと違和感があるが、着地の安定感が変わる。
最新シューズが取り入れる「走りを変えるテクノロジー」
シューズ開発は今、ただの“道具”を超えて、走りそのものをサポートするギアへと進化しています。
たとえばASICSのNOVABLAST 4では、
- クッション性と反発性を兼ね備えたFF BLAST PLUS ECOミッドソール
- 足全体のぐらつきを抑え、反発方向をまっすぐ前へ導く形状
- 軽量設計ながら、安定性も高く、長距離ランナーにも好評
など、「走りやすさ」だけでなく、「足に優しく、ケガを防ぐ」構造が多数盛り込まれています。
まとめ:構造を知れば、選び方が明確になる
ランニングシューズは、単なる“靴”ではありません。
それぞれの層が「快適に走る」ため、「疲れにくくする」ため、「ケガを防ぐ」ために、しっかりと意味を持って作られています。
構造を理解すれば、「自分はどこを重視して選ぶべきか」がはっきりします。
- 足裏が疲れやすいなら、クッション性重視のミッドソール
- 足がブレやすいなら、安定性のあるヒールカウンター
- スピード練習には、反発力と軽さのあるモデル
次章では、この知識を活かして「目的別に失敗しないシューズ選び10のポイント」を具体的に紹介していきます。
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