🏃♂️第1章:なぜ“フォーム”が疲労や完走に影響するのか
市民ランナーにとって、マラソン完走のカギを握るのは「スタミナ」や「根性」だけではありません。
実は、走っていて疲れにくいフォーム=身体への負担を最小限にする動き方こそが、レース後半のパフォーマンスを左右します。
例えば、同じ距離を同じペースで走ったとしても、
- 体のどこかが無駄に力んでいる人
- 接地のたびに衝撃が抜けず膝にストレスをかけている人
- 重心がぶれていてブレーキをかけながら走っている人
といったフォームで走っていれば、必要以上にエネルギーを消耗し、足に疲労がたまり、ペースが落ちる原因になります。
一方で、体をリラックスさせ、エネルギー効率の良いフォームで走る人は、
同じ距離でも足取りが軽く、疲れも少なく、最後まで“余力を残して”ゴールにたどり着くことができます。
✅ フォーム改善は「市民ランナーこそ」取り組むべき
プロ選手のように高い筋力やスピードを持たない私たちにとって、
「いかに省エネで走るか」は非常に重要なテーマです。
「練習量を増やす」「筋トレをする」ことも大切ですが、
まずは“走り方そのもの”を見直すことが、疲労軽減・ケガ予防・完走率アップに直結します。
✅ フォームは誰にとっても“進化の余地”がある
よく「自分は走り方が悪いから…」と悩む市民ランナーの方がいます。
でも、フォームは生まれ持ったものではなく、日々の走りの中で少しずつ育っていくものです。
意識し、感じ取り、少しだけ整える。
それだけでも、走りの「疲れ方」や「楽しさ」は確実に変わっていくはずです。
次章では、そんなフォーム改善の核心とも言える、「理想のフォーム」をシンプルに示してくれた、とある優秀なランナーの考え方をご紹介します。

🏃♂️第2章:理想のフォームとは?3つの本質キーワード
「理想のランニングフォームって、結局どう走ればいいの?」
これは初心者から上級者まで、多くのランナーが抱える永遠のテーマかもしれません。
SNSや書籍にはさまざまな意見があります。
「フォアフット着地が良い」「お尻を使って走るのが理想」「腕振りはこう」「骨盤はこう」──
情報は山ほどありますが、あまりに部分にばかり目が向くと、逆にフォームを崩してしまうということもよくあります。
そんな中、ある優秀なランナーが語った「良いランニングフォームの3つの本質」は、驚くほどシンプルで、そして深いものでした。
✅ ① リラックスしているか
最初のキーワードはリラックス。
これは単に「脱力している」という意味ではありません。
・肩に力みがないか
・顔が強張っていないか
・呼吸が浅くなっていないか
・動きが硬直していないか
といった身体全体の余計な緊張を抜くことが大切です。
緊張していると、身体は自然なリズムを失い、必要以上の筋出力を強いられます。
「頑張ろう」と思った瞬間に逆に力が入ってしまい、結果的に疲れやすくなる。
だからこそ、まずリラックスした状態を保つことが、疲れにくく、スムーズな走りへの第一歩です。
この“リラックス”は、実は身体だけでなく「心の使い方」にも関係しています。
緊張や不安、焦りといった感情は、筋肉の無意識の緊張を引き起こすからです。
✅ ② リズムよく走れているか
次に大切なのはリズムです。
音楽のように一定のテンポで走ることができると、身体の無駄な動きが減り、呼吸や筋出力も安定してきます。
「リズムを刻む走り」は、自転車のペダルのようにスムーズに回る脚、等間隔で響く着地音など、身体全体がひとつのリズムでまとまって動いている状態を指します。
この状態では、走ることに対する「がんばってる感」は少なく、“流れに乗る感覚”に近いものがあります。
リズムが崩れると、フォームもバラつき、身体のどこかに過剰な負担がかかってしまいます。
だからこそ、自分の中にある自然なテンポを大切にすることが、疲労の蓄積を防ぐ鍵になるのです。
✅ ③ 脚がスムーズに回転しているか
最後のキーワードは脚の回転。
「回転」という表現はあまり聞き慣れないかもしれませんが、これは脚を前に出す、後ろに引く、といった直線的な動きではなく、脚全体を滑らかに回すような円運動で使う意識です。
自転車のペダリングをイメージするとわかりやすいでしょう。
着地してから地面を蹴って、また次の一歩に移るまでの動きが、止まらず滑らかに“つながって”いることが重要です。
この“回転”がスムーズであれば、前への推進力も自然に生まれ、脚の負担も分散されます。
逆に、脚が上下にバタバタしていたり、毎回動作がリセットされているような感覚があると、エネルギー効率は悪くなり、結果的に疲れやすくなってしまいます。
✅ 部分ではなく、“全体”で見ることが大切
リラックス・リズム・回転という3つのキーワードを支えているのは、「全体を見る」ことの重要性です。
「腕の振り方はこれでいいのか?」「着地はフォアフット?ヒールストライク?」
そんな疑問は尽きませんが、細かい部分にとらわれすぎると、走りの本質である“全体の流れ”がかえって崩れてしまいます。
フォームというのは、筋トレのように“鍛えてつくるもの”ではなく、
“整えていくもの”“感じて調整していくもの”だと言えるでしょう。
✅ 理想のフォームとは「その人にとって自然体であること」
フォームに“正解”があるとすれば、それは「自分自身にとって自然で、走っていて気持ちいいかどうか」ではないでしょうか。
この章で紹介した3つの本質──リラックス、リズム、脚の回転は、まさにその「自然体」の感覚を引き出すための指針です。
次章では、この考え方をさらに深め、「正しいフォームは人の数だけ存在する」というテーマについて掘り下げていきます。
🏃♂️第3章:正しいフォームは人の数だけ存在する
ランニングフォームの話になると、「正しい姿勢はこれ」「腕の振りはこう」「着地はフォアフットが理想」といった言説をよく目にします。
確かに、それぞれに根拠のある“正論”です。しかしそれがすべての人にとっての“正解”とは限らないという視点も、とても大切です。
なぜなら、人それぞれに──
- 体格(身長・骨格・筋力)
- 年齢・性別・走力
- これまでの運動歴やクセ
- 生活スタイル(育児・仕事・トレーニング頻度)
が違うからです。
つまり、フォームとは、その人の身体と生活、走る目的に応じて変化する「パーソナルな最適解」であるとも言えます。
✅ 「正しいフォーム=万人共通」は存在しない
理論的には「骨盤を立てて、体幹で支えて、前傾姿勢で〜」といったスタンダードな型があります。
しかし、それをそのまま実践しようとすると、逆に身体のバランスを崩してしまったり、余計な力みを生んでしまう人もいます。
たとえば、柔軟性の低い人がいきなり“骨盤前傾”を意識しすぎると、腰を反らせて腰痛を引き起こすことがあります。
また、膝の可動域が狭い人に「ストライドを大きく!」と指導しても、フォームが乱れ、疲労を早める結果になることもあります。
つまり、理論だけを追いかけて“誰かの正解”をそのままなぞろうとすると、かえって遠回りになることもあるのです。
✅ フォームとは“変化していくもの”でもある
もうひとつ、見落とされがちな視点があります。
それは「フォームは自分の中でも変化していくもの」ということです。
たとえば、トレーニングによって体幹が安定すれば姿勢も変わる。
筋力がつけばストライドも自然に伸びてくる。
疲労や加齢、環境、気温…あらゆる要素が、日々の走りに影響します。
だからこそ、「今の自分に合ったフォームはこれかな?」とその都度、対話するように探っていく姿勢が大切なのです。
✅ 正解探しより「自分との試行錯誤」を楽しむ
この辺りで、あなたの中に疑問が生まれるかもしれません。
「じゃあ結局、どうすればいいの?」
「何を基準に判断したらいいの?」
答えは、「走っていて気持ちいいかどうか」「終わったあと、余計な痛みや疲労が出ていないか」を基準にすることです。
つまり、“正しい”より“自然で快適”かどうかを感じることが、何よりも大切なのです。
そのうえで、必要に応じてフォーム動画を見返したり、信頼できるアドバイスを取り入れたりすることで、少しずつ最適な走りに近づいていけるのです。
✅ それでも迷ったときは──
迷ったときには、あえて“部分”をいじりすぎず、
前章で紹介した「リラックス・リズム・脚の回転」の3つの本質に立ち返ると、フォームは自然と整いやすくなります。
特に市民ランナーにとっては、「練習を継続できること」「ケガをしにくいこと」「走ることを楽しめること」が最も大事。
だからこそ、“自分だけのフォーム”を育てる過程を楽しむことが、最良のアプローチになるはずです。
次章では、フォーム改善において多くの人が悩む「アドバイスの受け取り方」について掘り下げていきます。
どうすれば“部分にとらわれすぎず、全体に活かせるアドバイス”を取り入れられるのか?
引き続きお楽しみください!
🏃♂️第4章:部分的なアドバイスの正しい受け取り方
ランニングフォームの改善に取り組んでいると、誰かからアドバイスを受ける機会があると思います。
「もっと腕を振った方がいいよ」
「着地の位置が少し後ろすぎるかも」
「上体がブレているね」
それらは一見、的確に見える言葉です。
しかし、そのアドバイスをそのまま鵜呑みにして、部分だけを変えようとするとフォームのバランスを崩してしまうことがあります。
✅ 「部分への指摘」は“全体の調律”の入口
優れたランナーはこう語ります。
「良いフォームとは、リラックスして、リズムよく、脚がスムーズに回転している状態だけ。
どこから着地しようが、どの筋肉を使おうが、本質ではない。」
この視点に立つと、アドバイスの本当の価値は「部分」そのものではなく、“全体を整えるためのスイッチ”だと気づきます。
たとえば、
「肘をもう少し後ろに引いてみよう」=→ 上体の力みが抜けてリズムが整う
「肩の力を抜いてみよう」=→ 呼吸が深くなって、脚の回転がスムーズになる
つまり、フォームの一部を意識することで、全体の連動や流れが変わるということです。
✅ アドバイスは「感じ取る」ことが大切
このとき重要なのは、“目で見て再現しようとしない”こと。
動画や他人のフォームを見て、「この通りに動かそう」としても、
それは“外からの模倣”に過ぎず、身体にとっては不自然な動きになってしまうこともあります。
代わりに大切なのは、アドバイスを「感覚」でとらえること」。
「腕を引いて」と言われたら、
→ 肘から引く感覚なのか
→ 肩甲骨が動く感覚なのか
→ 上体が伸びる感覚なのか
人によって反応する感覚は違います。
“自分の中にどういう変化が起こるか”を感じ取りながら試すことが、最適な修正につながります。
✅ アドバイスの“正しさ”は、自分が決める
ときには「しっくりこないな」と思う指摘もあるかもしれません。
それで構いません。
というのも、そのアドバイスが良い悪いではなく、“今の自分のフェーズに合っているか”が問題だからです。
むしろ、市民ランナーにとって大切なのは、
- アドバイスを全て信じることではなく、
- 試してみて、自分に合っているかどうかを判断することです。
信頼できる指導者であっても、「必ずしも全員に合うとは限らない」という視点を持つことで、アドバイスとの健全な付き合い方ができるようになります。
✅ 自分にとっての“変化のヒント”にする
筆者自身の体験としても、「この部分を変えたら楽になるかも」と思って試したことが、
実際には“別の部分”の動きを変えるきっかけになった…ということがよくありました。
アドバイスとは、「その部分を意識することで、走り全体が整ってくる」ためのヒントの入り口なのです。
✅ 練習の中で“調整していく”視点を
ランニングフォームは、スイッチひとつで劇的に変わるものではありません。
練習の中で少しずつ感覚をつかみながら、意識 → 試す → 感じる →なじませるというループを繰り返すことで、自然と整っていくものです。
そして何よりも、その変化の過程そのものが「走ることの楽しさ」につながっていくのだと思います。
次章では、ランニングフォームを左右するもうひとつの大切な側面──
「心のリラックス」と「内側の感覚」についてお話しします。
いよいよ、心と体のバランスに焦点をあてていきます。どうぞご期待ください。

🧠第5章:走るときに意識したい“内側”の感覚
ランニングフォームというと、どうしても「外側」の話──
姿勢、腕振り、着地、足の運び方──などに意識が向きがちです。
けれど、本当に疲れない走り、ブレないフォームをつくるには、“内側”の感覚を育てることが不可欠です。
ここでいう“内側”とは、
- 心の状態
- 呼吸のリズム
- 筋肉や関節の反応
- 意識の向けどころ
など、自分の身体の中で起きている「微細な感覚」に気づくことを意味します。
✅ リラックスは、肉体と心の両方から
「リラックスして走ることが大切」だと前章までで何度かお伝えしました。
このリラックスには、“筋肉を緩める”という肉体的な側面と、“心の緊張をほどく”という心理的な側面の両方があります。
特にマラソンのように長時間走るレースでは、「きつい」「遅れてしまうかも」といったネガティブな思考や不安が、知らないうちに筋肉を硬直させるという現象がよく起きます。
これは心理学的にも実証されており、不安や緊張は交感神経を高め、筋肉をこわばらせる方向に働くのです。
✅ 雑念が走りのリズムを崩す
特に中盤から後半にかけて疲れが出てきたとき、こういう雑念が出てきます。
- 「このまま最後までもつかな」
- 「周りと比べて遅れてるかも」
- 「あの坂で力を使いすぎたかも…」
こうした考えが浮かぶと、体は無意識に“防御モード”に入り、筋肉を縮め、呼吸が浅くなり、リズムが崩れてしまうのです。
✅ “考える”より“感じる”が大切
走っている最中にパフォーマンスを回復させる方法のひとつが、“考えるのをやめて、感じることに集中する”ことです。
たとえば、
- 足裏がどんな風に地面をつかんでいるか
- 腕の重さを感じながら振っているか
- 呼吸が浅くなっていないか
- 肩や首に力が入っていないか
こうした“自分の内部”の感覚に注意を向けるだけで、不思議と呼吸や動きがスムーズになってくることがあります。
それは、意識を「頭」から「体」に戻すスイッチのようなもの。
つまり、フォームを整えるには、体の感覚を味方につけることが必要不可欠なのです。
✅ 精神状態とフォームは直結している
あるトップランナーがこう語っていました。
「リラックスして走る技術の半分は肉体的なもので、残りの半分は“心の使い方”だ」
まさにこの通りです。
日々の練習や大会の場面では、
- 周りの目が気になる
- タイムを気にしすぎて焦る
- 自分に期待しすぎて力んでしまう
──そんな感情の揺らぎが、「体の揺らぎ」にもなって表れてきます。
だからこそ、精神的な落ち着き=フォームの安定につながっていくのです。
✅ 自分の“内なるリズム”を取り戻すこと
走っているとき、どこか調子が合わない。フォームが崩れている気がする──
そんなときは、「外」から無理やり修正するのではなく、
「内なるリズム」に戻ってくることが大切です。
それは「考える」のではなく、「感じる」ことで起きます。
具体的には、呼吸の深さ・肩の力・脚の回転の流れなど、体の内部感覚に軽く意識を向けることで自然とリズムが戻ってきます。
✅ 自分の感覚に正解を与えていい
フォーム改善においては、「プロの言うこと」や「理論の正しさ」が重視されがちですが、
実は“自分の感覚こそが最大の正解”になりうるということを忘れないでください。
走っていて、
「気持ちいい」
「軽い」
「リズムが整っている」
そう感じるなら、それがあなたにとっての正しいフォームなのです。
次章では、この“自分の感覚”をさらに深め、
「理論と現実のズレ」をどう受け止めて、自分の走りに活かしていくか──その柔軟な向き合い方をお伝えします。
市民ランナーとして「楽しみながらフォームを育てていく」ための心構えを一緒に見つけていきましょう。
🌀第6章:理論と現実、その“ミスマッチ”を楽しもう
ランニングに関する本やネットの情報を調べれば、「理想的なフォーム」や「効率的な走り方」について、山のように解説が出てきます。
- 骨盤を前傾させよう
- 腕はまっすぐ振ろう
- 足はフォアフット着地がいい
- 重心は前に、上体はまっすぐに…
理論としてはどれも正しい。
しかし、その通りにやってみても「なんか合わない」「余計に疲れる」「ケガをしそう」──そう感じたことはありませんか?
それは、理論が間違っているのではなく、「今のあなたの身体」にフィットしていないだけなのです。
✅ フォーム理論は“万能の正解”ではない
フォームに関する理論は、あくまで“ある条件下での最適解”であり、誰にとっても共通の答えではありません。
体の柔軟性、筋力、体幹の強さ、走歴、さらには性格や集中力のクセによっても、「合う・合わない」が出てきます。
それなのに、「理論通りにできない自分はダメなんだ」と思い込んでしまうと、かえって走る楽しさが失われてしまいます。
大切なのは、理論を“ヒント”として取り入れ、自分の中でどう活かせるかを試していく姿勢です。
✅ “ズレ”があるからこそ、自分だけのフォームが育つ
理論と実際の走りにズレがある。
でも、その“ズレ”にこそ、自分らしい走りの芽が隠れていることもあります。
「骨盤を立てよう」と意識したら、かえって腰に負担がかかってしまった。
「腕を大きく振ろう」としたら、肩に力が入りリズムが崩れた。
そんなときこそ、「このやり方は今の自分に合っていないだけだ」と、前向きに解釈することが大切です。
調整して、試して、また戻してみて──
この試行錯誤の積み重ねが、結果的に自分の体と対話しながらフォームを育てるプロセスになるのです。
✅ フォームは“実感”で決めていい
理論はあくまで参考。
フォームの良し悪しを決めるのは、あなた自身の「実感」です。
- 走っていて気持ちいいか?
- 疲れにくいか?
- ゴール後に変な痛みが出ていないか?
- 次の日も「また走りたい」と思えるか?
これらが“Yes”なら、それはあなたにとっての正しいフォームです。
誰かがなんと言おうと、走っている本人の感覚が一番リアルで確かです。
✅ 市民ランナーこそ“ゆらぎ”を楽しもう
職業ランナーとは違い、市民ランナーの走りには日々の生活の影響が色濃く出ます。
- 昨日よく寝れたか?
- 仕事で疲れていないか?
- 食事や水分はどうか?
- 気温や風の影響は?
だから、「毎日同じフォーム」なんて、むしろ不自然なのです。
大事なのは、その時その時の自分の状態に耳を傾けて、“今日のベスト”で走ること。
ゆらぎがあるからこそ、気づきがある。
ミスマッチがあるからこそ、成長できる。
✅ 理論に「支配されない」走りを
理論を学ぶことは大切です。
でも、それに縛られすぎて、走ること自体が苦しくなってしまっては本末転倒。
「知識」ではなく「感覚」で走る時間を持ってみる。
データやフォーム解析から少し距離を置いて、“自由に走る日”をあえてつくる。
そんな工夫が、結果的にあなたのランニングを豊かにしてくれます。
✅ 試行錯誤は、ランナーとしての“財産”になる
「フォームはこうあるべきだ」と決めつけず、
「こうしたらどうだろう?」と探求すること。
それがあなたを、よりしなやかで、しっかりしたランナーにしてくれるはずです。
市民ランナーにとってのフォームとは、
“競技技術”ではなく、“走り続けるためのライフスキル”です。
そして最後の章では、そのスキルを自分のものにするために──
「楽しみながら、自分の走りを育てていく」という視点についてまとめていきます。
🏁第7章:「疲れない走り方」は“自分だけのスタイル”でつくる
これまで、「疲れない走り方とは何か?」をテーマに、フォーム改善に必要な考え方や感覚の磨き方をお伝えしてきました。
ここで、ひとつ明確にしておきたいことがあります。
それは、「正しいフォーム」は、たったひとつではないということです。
誰かのフォームを真似したり、理論に合わせて無理に体を当てはめるのではなく、
「自分の体が自然と動きたくなるような走り方」こそが、本当の意味で疲れにくく、長く続けられるフォームなのです。
✅ あなたの走りは、あなたの“生き方”の延長にある
市民ランナーは、職業アスリートではありません。
仕事をし、家族と過ごし、限られた時間の中で走る。
筋力や可動域も日によって違い、体調も完璧ではないことがほとんどです。
それでも走り続ける──
そのスタンスこそが、実はとても豊かでかっこいいのです。
だからこそ、あなたのフォームには、
あなたの「生活」や「価値観」が表れていて当然です。
「走り」=「その人らしさ」がにじみ出るものなのです。
✅ 正しいより「続けられる」ことが大切
あなたがランニングを続けたい理由は何ですか?
- 健康のため
- 自己ベスト更新のため
- ストレス発散や心の安定のため
- 大会で仲間と会うため
- 自分を見つめ直す時間のため
理由は人それぞれですが、共通するのは「やめたくない」「できれば長く続けたい」という想い。
そのために大切なのは、「理想通りに走ること」ではなく、
「自分に合ったペースとフォームで、無理なく気持ちよく走ること」です。
✅ フォームは完成形ではなく、“育てるもの”
良いフォームは、一日で完成するものではありません。
その日その日の体調や気分と向き合いながら、少しずつ育てていくものです。
今日の走りの中で「これいいかも」と感じた感覚を、
次回のランで再現してみる。
「あれ?しっくりこないな」と思ったら、一歩引いてみる。
そんな試行錯誤の繰り返しが、
あなたのフォームを、あなた自身のスタイルへと進化させていきます。
✅ 正解を探すより、“違和感のない走り”を育てる
これまで学んできた理論やアドバイスも大切です。
でも、それに縛られすぎずに、
「なんとなく気持ちいい」
「自然にリズムに乗れている」
そう感じる感覚に、もっと自信を持ってもいい。
フォームとは、「外から与えられるもの」ではなく、
「内側から整ってくるもの」です。
✅ 迷ったときに戻る場所を、自分の中につくる
走っていて調子が悪いとき、フォームが崩れているとき──
そんなときは、「こうするべき」にとらわれるのではなく、
“リラックスして、リズムを取り戻し、脚の回転を感じる”という原点に立ち返ってみてください。
この3つの感覚は、きっとあなたの中に「走る力」を再び呼び起こしてくれるはずです。
✅ 最後に:あなたの走りは、あなたが決めていい
フォームに“正解”がないということは、あなたが「これだ」と思えた走りが、最良のスタイルであるということ。
疲れにくく、ケガしにくく、何より「また走りたい」と思える──
そんな感覚があれば、それはもう十分すぎるほど“良い走り”です。
そしてそのスタイルは、年齢や状況に応じて、また少しずつ形を変えていくでしょう。
それでいいのです。
ランニングは、あなたの人生に寄り添うライフスタイル。
だからこそ、「あなたのフォーム」も、世界にひとつだけのものであるべきです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
あなたが“疲れない走り方”を見つけ、これからも楽しく、長く、走り続けられますように──。心から応援しています。

お知らせ:足活体操教室(足から全身を整えて楽しく運動できる体をつくる)
内容: ブログ内参考
足からの整体ケア&全身体操
場所:北九州小倉北区中井4-5-24-1F:のうだ整骨院内(Tel:093-563-3325)
時間:午前11時~12時
料金:入会金:5,000円 月会費:4,000円
個別指導:1時間:10,000円(予約制:オンライン可)